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【映画感想】恋愛を料理で表現できる女性。

バベットの晩餐会 Babette's Feast
(1987)

出演: ステファーヌ・オードラン/ビルギッテ・フェダースピール/ボディル・キュア/ ビビ・アンデショーン
監督: ガブリエル・アクセル

あらすじ
厳格なプロテスタントの牧師を父に持つ美しい姉妹は、 恋や可能性を捨て、神に仕えるものとして生きてきた。年を重ねた二人の下に、フランスから革命の中、処刑されかけた女性・ バベットが逃げてくる。革命で夫も息子も失い、いくところがない彼女を二人は請われて使用人として雇うことになった。それから14年。 すっかりと田舎の暮らしにとけこんだと思われたバベットだったが、宝くじが当たり思わぬ大金を手にすることになる。
それでフランスに帰ってしまうだろうかと心配する姉妹だったが、バベットは始めて彼女達にお願いをする。
そのお願いは姉妹の父の生誕100年の記念の晩餐会を、自分に用意させて欲しいということだった。

私は美味しいものが大好きで、美味しいものを食べるととても嬉しくなります。
そんな気持ちを、芸術と言う言葉で表せば、こういうことなのかもしれないなぁなんて思ったりする映画でした。
淡々としているのに、最後に素晴らしい余韻を残してくれる、とてもよい作品だと思います。

まるで御伽噺のように綴られる、素朴で美しい田舎の風景。
二人の男性と姉妹で織り成される過去と、バベットが来てからの現在。
その静けさと美しさ、台詞がなくとも仕草と表情で豊かに綴られる感情が、ドラマティックでないのに冒頭から心をひきつけて離さないのです。

穏やかな田舎のくり返しの日常は、信者たちが年老いるごとに些細なことでおこるいざこざでギクシャクした雰囲気を孕んでいきます。
そんな中、バベットのもとにもたらされた1万フラン。それをもとに、バベットは素晴らしいフランス式のディナーを作っていきます。

海がめ、うずら、牛の頭。みたこともない食材が取り揃えられていく中、それを見た姉妹は「とんでもないことを許してしまった」 と不安がります。信者のみんなに「何を食べさせられるかわからないの」と涙ながらに訴えるのが、とってもかわいい! それを聞いて信者達は、 バベットのことも好きなので「食べない!」ともいえず、とにかく「わしらは料理の話はしないでいような」と「美味しくても、 それを表情に出さないようにしような」「この舌は、牧師さまの思い出を語る以外にはつかわないようにしような」と、固く誓い合います。 それがまたまたかわいいんだ!!

そんな信者達のなかに、フランスの将軍が「牧師さまを敬愛していたので、晩餐会には是非出席したい」とやってきます。 バベットの素晴らしい料理が出された晩餐会が始まります。最高級の料理を、信者達は黙々と食べ、 ただ1人フランスの将軍だけがこの料理の素晴らしさを絶賛します。

「すばらしいワインだ」という将軍の言葉などに、「そういえば牧師さまはこうおっしゃっていた」 などと話を変えてはぐらかす信者達がとてもかわいい。

信者達は、フランスの将軍が大絶賛しても、「美味しい」などとは言わない。
けど、その表情が「美味しい」と語っているようで、どんどんと和やかになっていく。
些細ないざこざも、お互いに許しあう。料理が出る度に幸せに満ち溢れた場になっていくことに、どきどきしてしまいました。

最後はみんな、手を取り合って賛美歌を歌う。

そんな信者達をみている姉妹も、穏やかで幸せそうな顔になっていく。

バベットの料理で、みんなが幸せになる。「美味しい」とか「素晴らしい」という言葉がなくても、 その表情で幸せになっていくのがわかる。そんな柔らかな雰囲気が本当に美しい。

久しぶりに、展開にも台詞にも余計な華美さのない、美しく素朴で心に染み入る映画を見たと思いました。

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